今年のみかん果実の生育期は例年にない特異な状況で推移しました。
開花期から6月上旬ころまで、少雨傾向で夜温が上がらず、5月下旬に一次落果はあったものの
梅雨入りしてからも、少雨傾向は続き、雨後の気温が上がることがなく、二次落果の状況が確認
できないくらいの波相となりました。
このため、展葉緑化は進んだものの、サジョウ嚢の分裂には少々不都合なことであったと推測されます。果実の水入りも遅れ、7月中ごろまで点々と二次落果も見受けられました。
芽年でありながら、落ちないように気象がまわり、園によっては、着果過多のところも多くあります。
その後7月後半から8月は一転、曇天多雨となり、生育が止まることなく推移し、晴天が多くなった9月初めには、玉がひかり出して、脱色が始まり早期収穫の可能性が出てきました。
酸切れが良く、やや物足りない面がありますが、食べやすいみかんになっているようです。
10月になり、台風に神経を遣う毎日ですが、夜温の下がり方が平年より早いようです。
今後の管理は、夜温の状況と強く関わりがあります。
収穫・販売と多忙を極めますが、これからの管理は果実品質また来年の生産に大きな影響があります。十分な計画のもと、確実な実行をお願いいたします。
◎樹勢の回復について
園内の養分不足(夏場の降水量が多かったため、養分の吸い上げが多かった・土壌流失があること)
※礼肥は早めに施用し確実に効かせる
10月末までには施用を終わらせるよう、お願いします。 (配合965A、 天恵875A)
実肥を施用している園は、11月上旬までに。
※葉面散布
葉柄の着色具合で蓄積栄養分の状況を確認
・正常園
リード3型 500倍 + ひかり 500倍
・葉色が良くない園
リード2型 500倍 + ひかり 500倍 を散布。(Mg欠には硫マグ 1000倍)
葉色が回復したら
リード2型を3型に変更する
強い台風で、風ズレなど樹体・果実に傷を受ける心配があります。
対策として次の要領で管理をお願いします。
○かいよう病防除
中晩柑など「かいよう病」に罹病しやすい品種は、通過前に
・コサイドボルドー 2,000倍
・クレフノン 200倍 の散布
○そうか病 防除
・トップシンM水和剤 1,000倍 を、通過後早めに散布
◎平成26年の動き
1.芽年(裏年)まわりとなっている。
杉・桧の花粉も昨年より少ない予想(環境省発表)
2.貯蔵養分の蓄積が少ない
花が多く、小さくなることが心配される
秀品果多収を目指す場合、以上のことを前提に今春の管理を組み立てる必要がある。
◎栄養管理の方法
1.剪定
結果母枝を大事にするとともに、外側の果梗枝(成りカス)を剪定する。
外側に結果母枝を置く。
2.葉面散布
貯蔵養分の蓄積を高めるため、リード3型500倍・花果神25,000倍の散布。
葉柄の着色と肥大を確認しながら実施する。
3.春肥の施用
・連年結果園 4月上旬(開花1ヶ月前)
・樹勢低下園 3月下旬
・強樹勢園 出蕾を確認した後に施用
4.灌水
発芽・出蕾時に乾燥しない様に適宜灌水を実施する。
晩生の代表系統「青島温州」
このみかんの特徴の一つに、「内側に結果母枝が出ない」という事がある。
外側主体の結果となり、結果母枝が外主体となるため樹が大きくなり作業性、結果の安定性に問題が出てくる。
今回紹介するのは表題の通り、青島温州の優良系。
画像の樹は内部で結果母枝が育ち、内成り果を確保できるため結果の安定・作業性の向上と増収が合わせて期待できる非常に珍しいものである。
◎果実に風による葉ずれ、枝ずれの傷がある場合
トップジンM 3,000倍の散布
◎そうか病の心配がある園
トップジンM 1,000倍の散布
◎かいよう病の心配がある園
コサイドボルドー 2,000倍 加用 クレフノン 200倍の散布
みかんの生理
年2回の生理的に重要な時期(収量・果実品質・樹勢に関係する事項)
秋季に入り、みかんも多大のエネルギーを使う時期となってまいりました。
・果実の肥大と仕上げ
・来春花芽の質の向上
・冬越し準備 (耐寒性)
これら項目をクリアしていくためには、多量の栄養分・水分が必要になります。
◎栄養分の移動が激しくなった証拠として、
・2年葉のツヤがなくなる
・ マグネシウム欠乏の症状がでてくる
※視 点
①結果母枝の葉柄(膨らみ具合と色)
②結果母枝の姿勢(立ち方―転びが無いか確認)
③結果母枝の葉脈(色の具合)
④結果枝群の下がり具合(水平を基準)
以上の点を観察し、栄養の補給(土壌・葉面)・枝つりなどで対応する。
栄 養 管 理
・葉面散布
「リード3型」、「ひかり」、「グリーンエキス」、「鮮 緑」、「硫マグ」
・秋 肥
2回施肥 (9月中に実肥、11月に礼肥として施用、肥効率が良い)
礼肥1回 (10月上旬から11月上旬までの間に施用)
秋肥の時期は、収穫作業や出荷販売に多大の労力が必要となる。このため、肥料の振込みが、適期に実施されない場合が見受けられます。
秋肥は、みかん樹の樹勢を回復させ、耐寒性を高め冬越しを支障なくこなし、早春の落葉を止め、春芽の発芽その後の開花結実を良好なものとするための重要な管理です。
気温が次第に下がって行くため、施用の遅れは、肥料効率が著しく低下し、みかんの正常な活動に重大な影響をもたらします。
この重要な肥料を、みかん樹が充分吸収できるように実施計画を立てて下さい。
発芽期~開花初期にかけての低温とその後現在まで、小雨高温傾向の天候不順が続いています。
このため開花期間が長くなり、みかん樹の発育相のばらつきが大きくなっています。
一次落果が平年より早く始まり、現在でもまだ落果が見えます。
この時期のみかん樹は、果実内の砂じょうの分裂と展葉・緑化、それに新根の発生・生長と多くの非常に大事な仕事をこなしています。
多量の栄養分を必要とし、特に微量要素が重要な役割を果たします。
不足しないように十分に留意して管理を行ってください。
◎マグネシウムの補給
・新葉緑化に必須の要素です。
・新葉にはマグ欠乏症状は出ませんが、緑化が遅くなります。
◎新葉に欠乏症状が出る要素
・マンガン、鉄、亜鉛この要素が欠乏すると新葉の緑化ができません。土壌施用で対応します。
***欠乏症状のでている新葉***
【2013/06/22 写真更新】
こちらは欠乏症状の表れている新葉です。
全体的に黄色っぽくなっており、緑化が進んでいない証拠です。
こういう症状が見えてきた場合、早めの微量要素補給を行うようにしてください。
夜温も上がり、日中は30℃を超える日も出てきました。
一次落果も始まって、展葉が進んでいます。
今年の品質を決定する重要な時期です。十分な観察と管理が必要になります。
◎追肥の施用が必要
・花が多く、芽の出が少ない樹
・旧葉が少なく、新芽の伸長、展葉の進んでいない樹
◎葉面散布
*正 常 園:リード3型 + ひかり + 微量要素
*追肥が必要な園:リード2型 + ひかり + 微量要素
◎新馬の緑化促進
・土壌の乾燥は緑化遅れ、生理落果の原因になります。天候の状況を見て適宜、灌水を実施
・Mgの補給(葉面・土壌面より)
◎そうか病・黒点病・スリップスに注意
スリップスは、槙の新芽を観察し防除の参考にする。
蜜の多い良い花には、訪花昆虫が飛来してきます。
一輪咲き時に防除を行い園内に虫が入れないようにしましょう。
果面の傷は大半が生育初期についたものです。
開花期~二次落果時の管理に十分留意してください。
今年は花年のため、早いものでは自己剪定しているものも見受けます。
葉色と葉のツヤを観察し、花肥の施用も必要な園(樹)が出てくると思われます。
子房の肥大促進(細胞分裂促進)
果実の大きさはじょうのう数と砂じょう数で決定されます。
それぞれの数を増すためには、細胞分裂が活発に行われる必要があります。
そのためには、多くの栄養分とエネルギーを必要とします。
窒素・糖分・水分と、これらが転流するために必要なリン酸他、多くの微量要素が十分にあることが必須条件です。
<<<対策>>>
・春肥の適正な施用
・リン酸、微量要素、糖分の補給
・リード3型+ひかり 各500倍の散布
・花果神 30,000倍の加用は効果的です。
芽の動きが早いようなので、防除対象の芽の動きを見ながら早めの防除をお願いします。
<<<対策>>>
ICボルドー66Dの80倍散布
※散布に当たっては外周部少量散布を原則とします。
◎ 状況
今年は、表まわりの花年となっています。
杉花粉も昨年より多い飛散予想が出されています。露地みかんの今年の花の状態を予想
する上で最良の情報となるハウスみかんでは、早期のものから現在開花直前の後期のも
のまで花が小さく多い状態です。
露地みかんの状態は、結果母枝は充分に確保されている状況にはあるものの、芽が短く
葉が小さいものが多いようです。昨秋よりの養分の蓄積は少なく、年が明けてからの天
候も冬季にしては雨の日が多く、日照が不足し養分のたまりが進んでいません。
このような状況から今年のみかんは樹の勢いがでにくく、小玉果の傾向が予想されます。
実りの秋を笑顔で迎えるために、基礎的な管理を確実に実行することが重要となります。
◎ みかん園管理
・ 剪 定
樹冠外周部を結果母枝にする(前年の果梗枝を切り落とす)
内の結果層を活用する(結果層が二重になっている部分の深さの調整)
裾の裏枝の剪除
内側に戻るために押し込める枝の切り返し
・ 栄養分の補給
大きな花を咲かせるために貯蔵養分を増やす
リード3型 500倍+ ひかり 500倍 の葉面散布
(葉色のうすい園には、アミノ酸資材の混用が効果的)
・ 土壌管理
根群特に細根の保護育成を図る
春肥のふり込み前に「輝 緑」10a当り 5袋を施用(客土効果)
◎ 花芽の状態
2月の中頃から、がく片期に入っています。順次、花弁、雄しべ、雌しべと花器が
仕上がっていき、やがて開花期を迎えます。この間に、栄養不足が起きないように
管理を行って下さい。今年の生産の基礎を決定する重要なこととなります。