栄養素の生理作用と欠乏
◎ チッソ
・ 栄養体生長の基本栄養素
・ 糖分と結びついてアミノ酸、蛋白となり、細胞の原形質をつくる。
不足の場合
・ 葉は小さく黄変し、生長が悪く、発根も少ない。
・ 樹勢が弱く、収量や品質に大きく影響が出る。
◎ リン酸
・ 蛋白と結びつき、核蛋白をつくる。
・ 炭素同化や呼吸に重要な関係をもつ。
不足の場合
・ 栄養生長期に欠くと、生長が鈍く、弱くなる。
・ 生育後半に不足すると、成熟、花芽分化が不良になる。
◎ カリ
・ 炭水化物の合成、移行、蓄積にはたらく。
不足の場合
・ 初期生長が不良となり、根群の発育も悪く、成熟に影響が著しい。
◎ マグネシウム
・ 葉緑素の成分で、リン酸の移動を助ける。
・ 栄養体の健全維持に関わり、食味に影響を及ぼす。
不足の場合
・ 葉斑点、黄変がおき、萎黄病となる、下葉より上葉に及ぶ。
・ 葉の寿命が短くなり、樹勢の低下、収量や品質が不安定になる。
◎ 鉄
・ 呼吸酸化作用、葉緑素の形成、炭素同化にはたらく。ビタミンに関係。
欠乏の場合
・ 根の障害、着色不良、秋落ちしやすい。
・ でん粉、糖分の合成が悪く、蓄積しにくくなる。
◎ マンガン
・ 生長点の発育、呼吸酸化、蛋白の合成、葉緑素と光合成に関係。
・ 根粒菌にはたらき、チッソの固定を増す。
欠乏の場合
・ 栄養生長が悪く、葉はうすく、茎は細くなる。
・ 花振いをおこす。
◎ ホウ素
・ 花芽の分化生長、ビタミンの生成、物質交代と糖分の増加、根粒の形成。
欠乏の場合
・ 原因不明の疾病、ウィルス病や病害虫の抵抗力低下、花芽の分化発育不良
◎ 亜鉛
・ 生長を促し、授精を助け種子形成にはたらく、酸化酵素の成分。
・ でん粉、蛋白の合成に関係し、ホルモン作用がある。
欠乏場合
・斑葉病、小葉病になり、生理病に弱い。
※全ての栄養素の不足・欠乏は、葉の寿命に大きく影響し、安定生産に重大な支障をきたす。